漫画アニメ規制問題~“表現規制反対派”山田太郎議員の欺瞞~

“表現規制反対派”山田太郎議員の欺瞞を暴く。

山田太郎議員が児童ポルノ規制からアニメ漫画を守った英雄というのは本当?―――実際は規制反対派の自爆だった児童ポルノ規制騒動―――

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児童ポルノ規制のあらまし

1990年代半ば以降、児童ポルノが児童(未成年者)の人権を侵害するものであるとの認識が世界的に高まり、児童ポルノ規制の必要性が叫ばれるようになった。

1999年にわが国では児童ポルノの製造や販売などを禁止する児童ポルノ規制法(自ポ法)が制定された。
なお、この時の自ポ法では課題のひとつであった児童ポルノ所持の禁止は見送られた。それは警察の捜査権を闇雲に拡大しかねないといった懸念の声に配慮してのものであった。

2000年以降インターネット利用が拡大し、それに伴い児童ポルノのネットを介した流通も活発になったとされる。
自民党保守派を中心とする規制推進勢力は所持も規制しなければ子供、未成年者の人権は十分に守られないとして自ポ法の改正を訴えるようになった。

だが、彼らは児童ポルノ問題に関心があるというよりも、むしろ児童ポルノ規制を口実にしてアニメ等の“萌え系”文化を一掃することを狙っていた。
児童ポルノの問題がクローズアップされるようになったころ、オタクカルチャー界隈ではアニメ等のキャラクターを愛好するいわゆる“萌え系”文化が勃興しつつあった。
かれらはこの萌え系文化を快く思わず、児童ポルノ規制に便乗しこうした文化を滅ぼそうとしていたのだった。

児童ポルノ規制と漫画アニメ

とはいえ、規制するには立法事実や構成要件を示し、具体的な法案という形にして提出し、審議を経たうえで可決されなくてはならない。
アニメの萌え系キャラの表現を、それとは何の脈絡もない児童ポルノ法で規制するのは本来無理な事。だが立法に長けた彼らのこと、“裏技”を心得ていた。

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自民党の原案。児童ポルノの所持規制を隠れ蓑にして、アニメ漫画規制を捻じ込むというものであった。

アニメ漫画を調査するという「附則」の形でねじ込み、その調査結果を適当に規制に都合のいい形にしつらえて3年後に自動的に規制するという算段である。

これなら具体的に法案の形にしなくても無理やりにでも自ポ法で萌え系文化を取り締まれるようになる。全権委任のような手法だ。

規制反対派の自爆

さて、児童ポルノの所持を規制せず放置していることによる弊害を訴える声は日に日に高まっていった。
2014年に自ポ改正法が大きく動こうとしていた。
私も、所持規制はもはや抗しきれないと判断し、所持規制を受け入れ、その代わりアニメ漫画等に関する条項(付則)の削除で折り合うよう、規制慎重サイドの野党の、特に法務委員会所属議員等を中心に、様々な手段を用い訴えた。
規制推進勢力も一枚岩でなく、とりあえずは所持規制だけでもという声もあった。なので勝算はあった。

ところが、規制反対派の主流派は「所持規制」も「漫画アニメの規制」も頑なにどちらも一歩も譲らないという姿勢に徹した。

彼らは野党に強く働きかけ、野党民主党もそれに同調した。
もはや与党自民党などに数の力で押し切られ最悪の結果となることは目に見えていた。

山田太郎議員の登場

そこへ、山田太郎議員が現れた。
山田氏は2010年の参院選みんなの党より出たが落選した。だが2012年に諸般の事情で繰り上げ当選していた。

山田氏は規制反対派からは胡散臭い人物と見られており、ノーマーク状態であった。
そのためかえって自由に動けたようだ。
原則論に囚われ自縄自縛に陥って身動きの取れない野党を尻目に、山田氏は自民党との間で「所持規制」を受け入れる代わりに「漫画アニメ規制」の附則の除外でさっさと話しをつけてしまった。

結局児童ポルノ法改正法は、所持規制の禁止、創作物(漫画アニメ等)の規制対象からの除外という形で決着した。

この一件をもってして山田太郎氏をオタクカルチャーの救世主と持ち上げる向きがあるが、そもそも規制反対派が状況を正しく認識し柔軟に対処できていれば、山田氏がいなくとも漫画アニメ等の規制は阻止できていた可能性が高い。規制反対派のオウンゴールといえよう。

ともあれ、オタクカルチャーは危いところで命拾いをした。ここまでは山田氏の活動も評価されてしかるべきではあろう。

山田太郎議員の増長

山田氏は自ポ法からアニメ漫画を救った議員としてにわかに注目を浴びることとなり支持者も徐々に増えていった。

とはいえ、「所持規制」という名目上の柱を失った自ポ法の更なる改正は不可能となって、アニメ漫画の規制案件は自ポ改正法の決着をもってして終了したのであり、山田議員も役割を終えたのだからそこでオタクカルチャーからは完全に手を引くべきであった。

しかし、自ポ改正法での成功体験に味をしめ、オタクの票田としての可能性に目を付けた山田氏は、オタクカルチャーに寄生し利用する方向へと舵を切った。

政界における自身の立場を固めるために、 自民党とのコネを作るべく、自ポ改正法後ほどなくして自民党が主導して立ち上げたMANGA議連(マンガ・アニメ・ゲーム議連)に加わった(2014年11月)。
「同議連が規制推進派の巣窟であり、規制を強化してくるかもしれないから監視する」という名目で。