漫画アニメ規制問題~オタクだから気づいた山田太郎議員の危険性~

“表現規制反対派”山田太郎議員の欺瞞を暴く。

山田太郎議員の無責任な「アニメーター待遇改善」の主張

山田氏が自民党主導のMANGA議連(マンガ・アニメ・ゲーム議連)に参加することになったのは前に述べたが、ここで議連に招聘されていたアニメ監督の庵野秀明氏に吹き込まれたのか、山田氏はアニメーターの待遇改善を頻繁に口にするようになった。
いいネタを見つけたという思いだったのだろう。氏には格好のアピール材料と映ったようだ。

私はもともと山田氏を支持していたが(それこそ山田氏が政界に登場して間もないころから。視聴者10人という時代からみんなの3ちゃんねる視聴してたし、自ポ法で規制強硬派の警察官僚、後藤啓二氏(共にみんなの党から出馬)と折り合えなければ党を割って出ていくという発言までリアルで見ている)、この件で一気に警戒モードに切り替わった。オタクカルチャーを踏み台にして自らがのし上がろうという邪悪な欲望が氏に芽生えたのを感じ取ったからだ。この人物なら本当にアニメ文化を滅ぼしかねないと相当な危機感を抱くようになった。

 

(なお、当エントリーでは5ちゃんねるからの引用もあるが、ソースとして提示したのではなく、あくまでブログ内容を理解してもらいやすくするために他の方のタイムリーな、上手い言い回しを拝借しただけである。内容に関しては周知の事実であり信憑性の疑い余地は乏しい。同じくTwittertweetは本人によって消されたり凍結されてしまうことがしばしばあるのでスクショを添付した)

 

              目次

山田太郎議員の主張

www.youtube.com

山田太郎のさんちゃんねる【第332回】アニメーターの待遇と産業改善策 2019/05/22 ライブ配信分。34:00あたりから待遇問題について話している。書き起こすのは大変なので、要点だけを簡潔に書く。実際に動画を見て各々確認していただければと思う。

・多くのアニメーターはフリーランス。制作会社に机並べて働いてるのは偽装請負労働基準法違反。下請け法違反。公取の取締対象。しかし資本金1000万円以下は下請け法適用除外。アニメ制作会社は資本金1000万円以下にして下請法を免れている。

・アニメーター4000~5000人、売り上げ2000億なら誰かがめちゃくちゃ儲けているはず。会社経営してたので分かる。

・製作委員会がブラックボックスになっている。どういう配分でだれがどう儲けているかわからない。相当儲けているんじゃないか。

・局印税というものが存在し、二次利用を独占している。アニメーターの待遇が悪い原因の一つ。

・制作者の著作権意識を高め収益連動型の報酬にすべき。

・10年間経験得るために安い賃金で働いている。これをMANGAナショナルセンターで教育するようにする。

エヴァンゲリオン庵野監督ももうアニメ産業はもたないと言っている。アニメ文化の灯を消すな 

経済産業省に待遇改善のためのパブコメを送ってほしい。

 

www.youtube.com

 2019年の参院選演説でも。

・動画:原画職、年収125万円。結婚出産を機に辞めてしまう。それを補う形で中国はじめ各国にアニメーターの仕事が流れていってる。もう純国産でもってアニメーションが作れなくなるかもしれない。どんどんその灯が消えていく。

・多くのアニメーターはフリーランス。制作会社に机並べて働いてるのは偽装請負労働基準法違反。本来はしっかり社員として雇用されるべき。(動画原画安く買いたたくのは)下請け法違反。公取の取締対象。しかし資本金1000万円以下は下請け法適用除外。アニメ制作会社は計ったように資本金1000万円以下にして(法律の抜け穴を悪用し)下請法を免れている。これを見直すべき。

 ・アニメ産業売上2兆1千億、制作会社には2000億しかいかない。
製作委員会、広告代理店 テレビ局に利益を独占される。

・海外売り上げが伸びている。誰が儲けてるか。外資。誰のためのアニメーションか。
・市場で儲かったお金をどう再分配するか。
欧米は権利意識が高い。クリエイターも2次販売海外販売したらある程度の割合もらう仕組みになっている。

・アニメーター4000~5000人程度しかいない。票にならないから政治家は誰も取り組んでこなかった。自分がそこに光をあてた。

・前回参議院で自分が29万票取った後は漫画アニメの表現の規制はほとんど議論されなくなった。

・これだけアニメ産業の人たちは困っている。飯食っていけない。みなさんも苦しい時、死にたくなった時漫画アニメに救われた。
私も会社やってて債務超過に陥って大変な時1日アニメや漫画見てなんとか最後の生きる余力(気力?)をもてた。アニメーターに恩返しをしてほしい。恩返しとは何か? まず知ってほしい。そして声を上げてもらう。

 

山田太郎議員の主張への反論

製作委員会はそれほど儲けていない

アニメはそんなに儲かっているのか? 下のリンク先はあるシーズンのアニメソフトパッケージ(円盤)の売り上げランキングである。

findanimesque.com

 

「大人向けで稼ぎどころ」(山田議員)にしてオタクカルチャーの中核であるいわゆる深夜アニメの売り上げは実際微々たるものにすぎない。

アニメの制作費は1タイトル1クール(12話)2~3億円と言われる。
単純に円盤単価36,000円として、制作費どれだけ回収できてるかおおよそのことは分かると思う。利益が出せているのはせいぜい上位5タイトル程度ではないだろうか。
配信やイベントなど収益の多角化がはかられてはいるが、それでも大半の作品の収益は相当に厳しいことがうかがえる。

ヒット作で赤字作品の穴埋めをしたり、あるいは原作漫画やラノベ、ゲームなどとのコラボ、メディアミックス戦略の一環と位置付けトータルでの黒字を目指したり、中には単に文化の振興、社会貢献と割り切って製作委員会が出資していることもあるようだ。いずれにせよギリギリのところでバランスを取っているのが現状だろう。

 

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finders.me

2位はハローキティで総収益は800億ドル。130カ国以上で5万点もの商品を発売し、さらにプーマ、エイソス、ハーシェルなどの企業とライセンス契約を結んでいる。今年11月には、eスポーツチームFNATICとのコラボを発表した。

アニメ産業2兆1000億円といってもその実態はポケモンプリキュアハローキティアンパンマンといった幼年向け作品のグッズ(玩具や食品パッケージ、文具等)や、ドラゴンボール、ナルト、ワンピースといった青少年向けのコンテンツ作品の売り上げが大半であり、またゲームなど少しでも関係のありそうなものもすべて詰め込んでの数字。オタクカルチャーの中核をなすいわゆる大人向けの深夜アニメは深夜にたくさん放送されていて存在感自体はあるものの”アニメ産業”に占める比率は本当にごくわずかだ。

製作委員会がブラックボックスというのも意味不明だ。製作委員会参加企業は大半がエンディングのクレジットに表記される。それ以上の情報を公表する意味があるのだろうか?

 局印税に関しては、「 新作の深夜アニメは、局印税を主張しない放送局へ企画を持っていくという流れが起きている」と、平成 31 年 2 月 22 日の段階で総務省の会合ですでに確認されている。山田氏は子供向け全日帯アニメと混同し議論を混乱させている。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000615256.pdf

 

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new-soku.net

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5ちゃんねるより 

アニメ製作委員会にはリスクを取って大きなリターンを狙ってるどころか、文化を振興し世の中を豊かにしようという善意しか感じられない。売れるとは到底思えないようなオリジナル企画作品も少なくない。アニメーターを虐げて暴利を貪ってるとか、どこからそんな発想出てくるのだろうか?

 

待遇問題は非常にデリケートな問題。待遇改善の強要は作品企画厳選を招きアニメ文化を縮小させかねない

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収益環境が非常に厳しい中で、報酬引き上げで制作コストが上昇すれば、制作資金を出資する製作委員会等の製作側は作品企画を厳選、確実に利益が見込めるものに大幅に絞り込むという方向へとシフトするだけであり、そうなれば多くのベテランのアニメクリエイターがポスト、仕事を失うことになる。もちろん新人の門戸も狭くなるのは言うまでもない。

 

 

 動画職はアニメーターとしての適性を見極める試験期間

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アニメクリエイターの報酬。少々古めの資料。現在はこれよりも多少上がっている可能性あり。山田氏の動画でも動画職年収125~130万円程度としている。

 

山田氏は動画職の報酬の低さを問題視しているが、動画はアニメーターとしての適性を見極める試験期間とされる。

また氏の動画配信では10年続けるみたいなことを言っているが、大半は2年程度でステップアップすると聞いている。

選挙演説ではどさくさに紛れて原画職なども混同して、あたかもアニメーター全体の平均給与が125万円みたいなことを言っているが悪質な印象操作だ。

 

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元アニメの制作進行という方の意見

 

 全体の平均給与が125万程度であるなら問題だが、ポストが上がるにつれ報酬もそこそこ増え好きな作品に携われる。動画職は間口を広く取る代わりにクリエイターの選抜システムとして代替的に取り入れられた仕組みではないかと思う。すばらしい作品が次々に生み出されているのだからそれがきちんと機能しているということだろう。単純に待遇の問題としてあるのでなく、アニメ文化の維持、発展に欠かせない仕組みとして存在するのではないか。

才能のあるクリエイターにとっては一瞬で通過するポストだ。国がいちいち口出すことではない。必要悪と割り切る以外にないのではないか。外野がとやかく言う問題ではない。

 

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新興産業であるアニメ産業を従来産業の価値基準で断罪するな 

アニメ業界にフリーランスが多いのも彼らがそうした働き方を望んできたからだ。

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 5ちゃんねるより

 

 「偽装請負」との指摘であるが、そもそもアニメーターは派遣会社(請負会社)から派遣されてきているのだろうか? 偽装請負とは一人の労働者に対し指揮命令を出す会社と雇用関係を持つ会社が不一致であることだ。

山田太郎議員は自分の”やってる感”を出すためだけに、つまらないことをいちいちあげつらってただでさえ忙しい制作現場を混乱させていないだろうか?

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アニメ等の映像娯楽コンテンツ産業は新興の産業であり、従来産業の概念では推し測れない部分も多い。以前働き方改革の一環として持ち出された裁量労働制が猛烈に批判されたが、アニメはむしろそういったものとの相性がいい。

 経歴、キャリアよりも能力が優先され、能力さえあればいつでも業界に参入できるなど雇用の柔軟性も高い。

従来産業の価値基準でもって断罪をおこなうのなら、新興の産業であるアニメ産業のダイナミズムを削ぐことになりかねない。

なお、山田氏が下請け法適用を逃れているなどと攻撃している制作会社の多くは、アニメ監督や演出家などトップクリエイターが興したものだ。

巷に溢れるデマ

president.jp

アニメーターの待遇に絡みしばしば取り上げられるのが、いまや中国のほうが日本よりもはるかに待遇がよく、今のままだと日本人アニメーターは中国に引き抜かれ、日本のアニメ産業は空洞化するというものである。

こういう記事を鵜呑みにしTwitterでは数万の「いいね」が付き、製作委員会や広告代理店をなじるリプライが数多く付くのには頭が痛い(実際には深夜アニメ製作に広告代理店が参加することは少ない)。

冷静に反論されてる方も少数ではあるがいるので紹介する。

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いまでもアニメのエンディングのクレジットには明らかに中国に発注してるとわかるような社名や個人名が数多く表記される。中国のアニメーターの報酬が記事の内容のようなものだったらそもそも中国に発注することすらかなわないはずだが? この種の記事を本気にしてる人たち、変だとは思わないのだろうか。

最後に紹介した方が指摘されてるように、技術者を破格の待遇で雇い入れノウハウを吸収して最終的にその産業を乗っ取るというのは家電や半導体等の産業で中韓企業がこれまでにやってきた手法だ。

中国はアニメ産業の発展を国家戦略のひとつに位置づけているフシがある。

日本からその主導権を奪い、”自国の文化”として乗っ取ることを狙っているのだとしたら、単に技術の吸収にとどまらず、あらゆる情報戦を仕掛けてくる。

日本のアニメ制作コストを引き上げさせれば先にも述べたような仕事にあぶれた人材を獲得しやすくなる。

記事のようなデマ情報も、中国当局によってコントロールされている可能性がある。同様の情報がもう何年も前から定期的に流れてくる。記事を真に受けてリツイートし嬉々として製作委員会や広告代理店を叩いてるような人たちは知らず知らずのうちに中国の情報戦略の一端を担わされてしまっていると言えよう。

山田太郎議員もこうしたデマ記事を鵜呑みにして(或いは確信犯的に利用して)、「海外に仕事が出ていってしまっている」みたいなことを主張してるのだろうが、日本のアニメ産業は中韓東南アジアなどにも制作拠点をつくりあげ、それら地域と二人三脚で発展してきた。海外サプライチェーンのおかげで本来ならオーバーキャパシティの作品作りが可能となっている。純国産とか、愛国心に訴えたいのか知らないが、まったく事実を踏まえていない頓珍漢な主張である。

 

クリエイターへの恩返しは円盤を買ってこそ。山田氏のデマは売り上げを減少させる。

山田氏は動画の中で「アニメーターに恩返しをしてほしい。恩返しとは何か? まず知ってほしい。そして声を上げてもらう」と言っている。「恩返し」云々については別のところでもたびたび言及されている。

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(BLOGOS記事

「今こそアニメに恩返しを」山田太郎議員が語る“MANGAナショナルセンター法案”の重要性と直面する廃案の危機 (2/2)

より 

 

「恩返し」を頻繁に訴えてはいるが、具体的内容が全くない。

それもそのはず、恩返しはまずなんといってもBlu-rayソフトパッケージ等のいわゆる円盤を購入することであるが(一般のグッズ購入は作品の一部であるキャラクターへの愛情表現でしかないが、円盤購入はストレートに作品そのものへの評価である。クリエイターも売り上げを意識している。単価も高く今なお深夜アニメにおいては事業収入の大きな部分を占めている)、それと「売り上げの9割は製作委員会がもっていってしまい、1割しかクリエイターに届かない」という自身の主張とでは整合性が取れないからだ。

製作委員会、広告代理店、テレビ局等を悪役に仕立ててそれを叩くことで「アニメーターの待遇改善に取り組む議員」をアピールする氏にとって、円盤購入を訴えることは甚だ都合が悪い。また、正当な対価を払わずにコンテンツ消費をしている、少なからぬ自分の支持者を暗に批判するのを避けたいという判断も働いてるだろう。製作委員会に責任を擦り付けることで、彼らに買わないエクスキューズを与え、後ろめたさを取り除いている。

いまや50万票余りを得て一定の影響力を持つ山田氏の、売り上げの9割を製作委員会等が奪っているなどとする不用意な発言はファンの購買意欲、すなわち売り上げにも少なからず影響を与え巡り巡ってクリエイターにも多大な不利益をもたらしている可能性がある(山田氏の言うことは100%正しいと信じて疑わない”信者”を何人も見ている)。

それどころか、次のエントリーでも触れるが、この動画では次のようなことも述べられている。

www.youtube.com

47分頃

・漫画は古本として流通できる。どんどん転売できる。

・アニメは権利関係が厳しいからDVDになってない限り見ようと思っても見たいときに見られない(だから著作権フリーの国立国会図書館に収蔵していつでも見たいときに見れるようにすると配信まで示唆)。

・10年前の作品、DVDになってなかったらテレビ局が再放送してくれない限り見る手段がない(坂井元秘書。山田太郎議員も相槌)。

 こんなことを言っている時点で、山田氏自身アニメなどきちんと対価を払って見るようなものでないと思っているのだろう。

 

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 ”政治権力者”が「アニメはタダで見て構わないものだ」とお墨付きを与えればこのように支持者もそれを正しいことだと思い込むようになる。

真の搾取者は製作委員会等でなく、山田太郎議員とその支持者ではないだろうか?

 

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庵野監督は時流に乗れず老害となって新しい文化や若いクリエイターを腐しているだけ

 山田氏はいまや口癖のように「エヴァンゲリオン庵野氏も言っている」と庵野氏を持ち出すが、権威を利用して自己の正当化を図るのもこの人物の特徴である。

 実際は庵野氏は2000年以降めぼしいアニメ作品を手掛けておらず、なぜか実写映画制作にうつつを抜かしている。

常にもう日本のアニメはあと数年しか持たないなどとネガティブなことを言っている。庵野氏は若いころあるアダルト系美少女アニメを手掛けたとき、宮崎駿監督に「お前が作りたかったのはこんなものか!」とどやされたらしいが、いま自身が時流に乗れずに老害となって新しい文化や若いクリエイターを腐してるだけにしか見えない。

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2ちゃんねるより

アニメ文化とコンサルティング業は相容れない

 ひたすら利益を追求するコンサルティング

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不採算部門を整理し、経営資源(リソース)の選択と集中によって利益をひたすら追求するのが、山田太郎議員の出身であるコンサルティング業だ。

彼らは目先の利益ばかりを追求し、日本の製造業の凋落を招いた。

その手法でもって山田氏がアニメ文化に関わってくれば、アニメ文化などあっという間に焼野原にされてしまうだろう。

採算性の非常に低い深夜アニメのようなものは「アニメーターの待遇改善」という実績を作りたい山田氏にとっては目障りだ。だからその制作を支える製作委員会というシステムをやたらと目の敵にし、それの破壊に躍起になっている。

氏は前に深夜アニメそのものを痛烈に批判したことがあったが、深夜アニメなどという業態を排し、いくつかの大作アニメ映画とグローバル展開も容易な青少年向け全日帯アニメに集約したいというのが氏の本音だろう。

 

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 日本のアニメのアドバンテージとはニッチな趣向をも許容する懐の深さ、多様性、すそ野の広さだ。それを担保するために山田議員も「表現の自由」を訴えてきたのではなかったか。山田議員はもはや当初の「表現の自由」とは真逆のことをやり始めている。

 

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そもそも文化とは「無駄」なものだ。そこへ元コンサルが製造業の感覚でメスを入れようとしたらどうなるかは火を見るより明らかだ。

 

「オタク」「アニメ専門家」に成り済ましアニメ文化に食い込んでくる山田太郎

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山田氏は以前アニメには全く興味ないというようなこと言っていたと記憶してる。自身の配信動画で2次元系オタクならだれでも知っているような言葉の意味が分からなくて戸惑ってたこともあった。

ただ、この先「オタク議員」として売っていくためにはアニメに通じてないと都合が悪いと感じ慌てて知識を仕込み始めたのだろう。支持者を欺くためにもある程度の知識は必要である。

 

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好きな作品は?と振られて誤魔化す山田氏。適当ににわか仕込みのタイトルを言ってボロが出るのを恐れたのだろうか。「みわちゃんねる突撃永田町 第237回」から。動画の冒頭2分あたり。

https://www.youtube.com/watch?v=OJc2RVIE0Zw

 

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宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」が地上波で放送されるとき、終盤のクライマックスで主人公達が「バルス」という呪文を叫ぶシーンに合わせて、視聴者がTwitterで「バルス」とツイートするのが恒例行事となっているようだが、そこに一緒に混じってアニメ好きを必死でアピールしてみたのだろうか。なんとも寒々しい・・

2019年参院選でも、目標53万票はドラゴンボールZフリーザの戦闘力にあやかったことをアピールしていたが、本来郵便局長会の票を上回るという立て付けだった。だいぶラグがあってからフリーザがどうこう言い始めたのでものすごい違和感を覚えたものだが、支持者に仕込まれた感満載であった。本人はフリーザが悪人ということすら知らなかったのではないだろうか(ある意味ふさわしい例えのようにも思える)。

 

しかし、素人相手には 付け焼刃の知識で専門家気取り・・

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こんなハッタリで今までの人生もやってきたのではないとは思うが・・・ 

 

 

taroyamada.jp

5つ目は資本力の問題。アメリカは、民間企業がアニメ産業に巨大な資本を投入しています。アメリカのアニメは、最初から世界展開を目指しているため多額の投資を行い、それによって世界に通用するクオリティの高い作品をコンスタントに作り続けることができ、その結果、世界中から莫大な利益を上げています。一方、日本のアニメ産業は、ほとんどが国内向けに作られるものであり、多額の投資が行われることは稀です。そのため、世界に通用するクオリティのものをコンスタントに生み出し続けることが難しい状況と言えます。これから人口減少に向かう日本では、国内だけを見てアニメを作り続けることは自殺行為にも等しいと思います。これからはグローバル展開が不可欠な状況です。スポサード方式や製作委員会方式で国内から集めた資金だけを頼りにアニメをつくり続けるのは限界です。世界には、日本のアニメ制作会社と組んで作品を作りたいと考えている企業等が沢山ありますので、アニメ制作会社は、そういったところとのコラボレーション等も含めて、資本力を強化していく必要があります。私の方では、国としてそういった取組みを後押しできないか、検討を進めていきます。(上記リンク先記事より抜粋)

本文最後に「アニメが好き」であるとアピールしているが、アニメ愛を微塵も感じさせない山田氏の提言。

「グローバル展開」に対してはオタク界隈では全く否定的だ。

 

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 多くの方が指摘してるように、日本のアニメはガラパゴス的環境の中で進化をとげてきたニッチでとてもユニークな文化でありそれがウケているのに、世界の強豪と同じ土俵に引きずり出してどうしようというのか。

作り手も愛好家も楽しんでて、業界もそれをサポートしてくれて盛り上がっている文化に、数年前までアニメの「ア」の字も知らなかったような元コンサルティング会社経営者が突然乗り込んできて、頓珍漢な提言を披露している。場違い感が半端ない。 

そもそも、自身の所属する自民党のマクロ経済政策の失敗により経済の凋落や少子化が進んでいるというのに、そのことを棚に上げて(前提に)これからのアニメ制作はどうあるべきかなどと論ずること自体片腹痛い。

 

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同類かニワカか判別できるのであれば、山田議員のようなアニメを食い物にする胡散臭い人間を真っ先に排除すると思うが。山田議員を支持してるのは本当に”オタク”なのか?

 

待遇批判と規制論は非常に相性がいい。アニメ文化を守りたかったら安易に待遇批判に組してはいけない

アニメの中でもとりわけ深夜アニメのようなものを目の敵にしてきた規制推進派、保守勢力にとっても、待遇問題は非常に都合のいいものだ。「アニメーターの待遇改善」を口実にしていかにもアニメの将来のことを考えてますというふうを装いながらアニメ制作の基盤そのものをじわじわと破壊できるからだ。

「オタク議員」山田氏を盾にして批判を抑え込み自分らの政策を遂行するのも最近の彼らの傾向である。

「昔のアニメはよかった。今のアニメはエロや萌えで視聴者を釣る中身のないゴミばかりだ。粗製乱造されている。利益さえ出ればいいと思っている。諸悪の根源は製作委員会だ!」という今のアニメに不満を持つオールド・ファンの声も少なくない。

そうした声を利用して山田議員が今後製作委員会、深夜アニメを締め付けてくるだろう。特に自民党に入ってからの氏は自身の立場を守るべく常に党上層部の顔色を窺って行動している。

日本のアニメ文化に貢献した第一の功労者は言うまでもなくクリエイターであるが、それを支え発展に貢献してくれたのはまぎれもなく制作資金を投じてくれた製作委員会参加企業である。山田太郎議員がアニメーターやアニメ文化を守る救世主ではない。むしろそれらを食い物にする寄生虫だ。アニメ文化を積極的に破壊しようとまでは思ってないだろうが、自分の活動で結果的にそうなったとしても気にも留めず、いつもの詭弁で乗り切るだけだろう。

山田太郎議員がごとくペテン師の煽動に乗って製作委員会等を叩くのは愚かな行為であり、規制推進派、保守勢力を利するだけだ。アニメ文化を破壊する自殺行為でしかない。安易に待遇批判に組してはならない。